【スーパーGT①】複数ドライバーで戦うセミ耐久
『ここをチェック』
★かつては全日本GT選手権と呼ばれた
★独自のルールで盛り上がるGTカーのトップカテゴリー
★2020年、2021年は海外開催を見送り
複数ドライバーで戦うセミ耐久
1990年代初頭、日本の自動車レース界では2つの人気シリーズが閉幕した。1つは1992年で終了したグループCカーでの全日本スポーツプロトカー選手権(JSPC)(※①)、もう1つは1993年で終了したグループAカーでの<>全日本ツーリングカー選手権(JTC)(※②)である。
補足情報
①全日本スポーツプロトタイプカー選手権(JSPC)
スポーツプロトタイプカー、いわゆるCカーと呼ばれたレース専用車(プロトタイプなので本来は市販を前提にしたクルマとなるが)で行われた耐久レース。現在のWECマシンに近いスタイリングを持っている
補足情報
②全日本ツーリングカー選手権(JTC)
市販車ベースのツーリングカーで戦われたセミ耐久レース。出場車両はグループAと言われるモデルで、一定台数が市販されることが条件であった。このため自動車メーカーは、ポテンシャルを高めたホモロゲーションモデルを設定。限定モデルということでクルマ好きが殺到した。
全日本ツーリングカー選手権はJTCCとなりシリーズを存続させるが、全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権は事実上の消滅。そして新しいシリーズとして1993年に始まったのが全日本GT選手権レースである。とはいえレースに使われたマシンはJTCに近い仕様であり、レース内容も同様に近いものだった。この全日本GT選手権レースは1993年の1年間で終了。翌1994年から全日本GT選手権(JGTC)として新シリーズがスタートする。これがスーパーGTのルーツである。
全日本GT選手権は海外進出というそれまで日本のレース界にはなかったことにチャレンジし始める。2000年、2001年にはマレーシアのセパンサーキットでオールスター戦を開催。2002年にはセパンでのレースがシリーズ戦に組み込まれる。
シリーズ戦が海外1戦までは全日本選手権として認められるが、2戦以上になると全日本選手権としては認められない。運営団体であるGTアソシエイションは2005年以降に年間2戦以上の海外戦を予定していたため、全日本選手権から外れ、シリーズ名称もスーパーGTに改められた。
スーパーGTは市販車のシルエットを生かしたマシンを使い250km~500マイルまでのレース距離で戦われる。ドライバーは基本が2名で長距離の場合は3名以上も認められている。ドライバー交代が義務づけられているため、ピットでの作業時間もレースの勝敗に大きく影響する耐久レース的な要素もある。
獲得ポイントに応じて次戦からウエイトを積載する「ウェイトハンデシステム」を採用する。逆に成績が振るわなかった場合は、救済措置としてエンジンの吸気制限などが緩和され、性能調整が行われている。
2020年のスケジュールは4月11・12日の岡山国際に始まって11月7・8日のツインリンクもてぎが最終戦の全8戦になる予定だったが、新型コロナウィルスの影響で大幅に変更。開幕戦は7月18・19日に富士スピードウェイで行われ、11月28・29日の同じく富士スピードウェイで最終戦を迎えた。岡山国際、SUGO 、オートポリス、そして海外戦として予定されていた、タイとマレーシアも中止となり、富士スピードウェイで4戦、鈴鹿サーキットで2戦、ツインリンクもてぎで2戦と変則ながら予定していた8戦は開催した。レース距離はすべて300kmであった。
2021年は4月10・11日に岡山国際で開幕し、11月27・28日に最終戦を迎える全8戦が予定されている。タイとマレーシアの海外レースは開催されない。しかし、5月29・30日に予定されていた第3戦鈴鹿は新型コロナウィルスの観戦によるまん延防止等充填措置が適用されたことを受けて8月21・22日に延期。このため7月17・18日に第4戦、8月21・22日に第3戦(代替開催)が行われるという変則開催となった。
スーパーGTのスタートはローリング式。1コーナーに進入しているのはGT500のマシン。後方のヘッドライトはGT300のもの
全日本GT選手権時代のスタートシーン。先代スープラが現役だった時代だ
補足情報
GT500マシンはどんな仕様か?
現在、GT500に参戦しているマシンは、トヨタがスープラ、日産がGT-R、ホンダがNSXだ。この3種のマシンだが、じつはモノコックは共通のものを用いている。これはFIAのクラス1規程に準拠するためのもので、DTM(ドイツツーリングカー選手権)などとマシンの共通性を持たせることが目的。同一モノコックに各社独自のボディを使い、スープラやGT-R、NSXに仕上げているというわけだ。エンジンは直列4気筒のターボで、それぞれのメーカーが独自に開発したもの。駆動方式はFRに限られるため、GTRも4WDではなく、NSXもミッドシップではない。そのほか、規程で多くのパーツが共通化されていて、開発コストを低減する工夫が行われている。ただし、タイヤについてはブリヂストン、ダンロップ、ミシュラン、横浜ゴムの4社が供給。熾烈な戦いを演じている。
例題/2019年のF1第9戦でレッドブル・ホンダが優勝。そのドライバーは?
①マックス・フェルスタッペン ②ピエール・ガスリー ③ダニエル・リカルド ④ストフェル・バンドーン(正解=①)