【コラム】工藤貴宏のジドウシャ・ジャーナリスト日記 ~2017年11月~
東京モーターショーも終わってのんびりできるかと思った11月も、気がつけば新車イベントに撮影にと右往左往。12月に入ると、年末年始の休みに備えて締め切りが前倒しされる「年末進行」に振り回される毎日です。たまには1日かけて、愛車を徹底的に洗車したいなあ。年内にできるか? それでは2017年11月のジャーナリスト日記をお届けしましょう。
【11月1日~】 魅力あふれるマークX
1年前に大規模マイナーチェンジしてからきちんと乗っていなかったことをふと思い出し、トヨタ・マークXを1週間ほど借りて試乗。交差点をひとつ曲がっただけでビビビと来る、FRならではの自然なステアリングフィールにウットリ。256万6800円からのプライスタグは破格だと思う。2GR型3.5Lエンジンの官能的なフィーリングが大好きだけど、今回乗った2.5Lでも実力的には十分だと思う。
【11月1日】 4度目の東京モーターショー会場へ
隠れ人気のモーターショー公式プログラム「自動車ジャーナリストによるガイドツアー」のツアーガイドをするため、今期4度目の東京モーターショー会場へ。事前申し込みで参加してくれた一般の来場者と一緒に会場をまわる、約2時間のガイドツアーを3セット。ガイドする側としても、みなさんの意見を聞くのが楽しくてやり甲斐があるなあ。
【11月2日】 キャラ作りが巧みなジープ・コンパス試乗会
成田空港近くのホテルをベースにジープ・コンパスを試乗。初のコンパクトに初のFF乗用車系プラットフォームベースと初モノづくしておっかなびっくりだった先代に比べると、ずいぶんと巧みな商品づくりになった印象。どんな人をターゲットにするのかが明確になった気がする。「ジープ」というブランドはやっぱり偉大で財産だし、そのブランドを磨くためにデザイナーもファンイベントに顔を出すことにしていると聞いて、開発側の愛情がよく伝わってきた。
【11月7日~】 現代版のスペシャリティカーだったC-HR
マークXからC-HRのガソリンターボモデルへ乗り換え。後席も荷室も広くないけど「デザイン重視です」というこだわりには大いに共感できる。「80点主義」なんていわれた昔のトヨタではできなかっただろうね、こういうクルマは。1980年代から1990年代中盤にかけてはスペシャリティカーと呼ばれるクーペが流行っていたけど、個性的なデザインで勝負する今どきのコンパクトSUVはその立ち居地にいると思う。C-HRの走りは骨太でとっても爽快。でも、もうちょっとパワーが欲しくなる。
【11月7日】 マセラティ2018年モデル発表会
六本木のラグジュアリーホテルでマセラティの2018年モデル発表会。先進安全支援システムが搭載されたほかフェイスリフトを実施した……のはいいとして、僕にはパッと見の新旧見分けがつかないのは恥ずかしいから、ここだけの内緒にしておこう。
【11月9日】 ルノー・メガーヌ試乗会
フルモデルチェンジしたメガーヌを箱根で試乗。本格スポーツモデルの「R.S.」かのような爽快なハンドリングに驚いた。極端にシャープじゃないんだけど曲がり方が素直で、意のままのハンドリングで峠道が楽しすぎる。普通のメガーヌでここまでとは、来年夏に日本デビューするらしい「R.S.」はいったいどうなっちゃうんだ?
【11月13日】 ベンツSクラスをスタジオ撮影
夏に大規模マイナーチェンジしたメルセデス・ベンツSクラスをスタジオに持ち込んで撮影。8時間近くかけて綺麗に撮ってくれたカメラマンさんに感謝。そして待ち時間ばかりだったのに、笑顔で対応してくれたモデルさんありがとう。
【11月14日】 ベンツSクラス勢ぞろい
前日に続いてSクラスの日。S400、S560 ロング、Mercedes-AMG S63ロング、そしてマイバッハと総額で「億」の領域となる4台を箱根に持ち込んで撮影。マイバッハの後席は快適なだけじゃなくて広すぎて、一度知ったら普通のSクラスには戻れなさそう。詳細は三栄書房の「新型メルセデス・ベンツSクラス徹底解剖」にて(と宣伝)。
それにしてもSクラスは快適かつ先進運転支援が充実しすぎていて、運転しているのに運転していることを忘れそうになる。ロングドライブも全然疲れない。
【11月14日~】 ひさびさの6気筒BMW
Sクラスを返却した足でBMWへ向かい、540iを借り出した。今年もかなりの数のBMWに乗ったけど、6気筒はひさしぶり。かつては6気筒がもてはやされたBMWでも最近主流になっているのは4気筒ターボ。それでも十分だと思っているのは偽らざる気持ちだけど、6気筒に乗ると「やっぱこれだよね」と思う。アクセルを踏み込んだときの滑らかさは鳥肌が立つレベル。
【11月15日~】 箱根方面で試乗会2連発
午前中にBMW試乗会で新型X3、M240i、そしてトランスミッションがDCTになったX1の「sDrive 18i」と3台を味見。X3がメインの試乗会なのにM240iの気持よさがもっとも印象的だった、というのもここだけの内緒で。
午後は御殿場を起点に新型シビック試乗会。乗り前から予想していたんだけど、完成度の高さに驚いた。峠道では狙った通りの走行ラインをトレースしながら意のままにキビキビ走れ、いっぽう高速道路では安定感が見事。日本でもたくさん売れてほしい1台だ。
【11月22日】 ハイエース発表会
お台場にあるトヨタの施設「メガウェブ」で行われたハイエースの改良モデル発表会に参加。自動ブレーキの搭載と新ディーゼルエンジンの採用(ATは4速から6速になった!)が大きな変更内容だ。実は今年はハイエース登場50年。「スライドドアのテストでの開閉回数は乗用車と桁が違う」とか「突然動けなくならないように、走行機械系の部品は走行に支障のない場所から壊れていくように考えて設計している」など開発者の言葉にもみょうに重みを感じた。
【11月某日】 キャンプ場でハイエース撮影
新型になったばかりのハイエースをキャンプ場に持ち込んで、某ウェブの記事の撮影。キャンプシーンを通じてハイエースの魅力を再検証する企画で、確かにキャブオーバーワゴンとアウトドアレジャーの相性はいいと思う。とにかく荷室が広いんだから。
【11月27日】 まさかのメルセデス・ベンツ年末懇親会
キャンプ場で自然に親しんだ後は、スーツに着替えてメルセデス・ベンツ広報部主催の年末懇親会へ。ここの年末懇親会は趣向を凝らしていて、昨年は昭和情緒漂うダンスホールだったけど、今年は東京競馬場のトラックが見渡せるVIPルームが会場。そして、この日の東京競馬場のレースはすべて「メルセデス・ベンツ杯」などメルセデスにちなんだタイトルがついていたんだからビックリだ。スゴイね。マーケティング・広報のスタッフがバンド演奏(この日のために仕事後に猛練習したらしい。昨年は社交ダンスをした)を披露するなど、みんなノリノリで大盛り上がり。
【11月某日】 まだ内緒の撮影
湘南方面でまだナイショのクルマを撮影。走りの味付けはタイヤを除いてスポーツ仕様と同じで、インテリアは上質さを強調。そんな方向性はかなり魅力的……ってこれ以上は言えません。
……というわけで、11月もあっという間におわっちゃったわけです。綱渡りのスケジュールもまだまだ解消せず、迷惑をかけている担当者のみなさまゴメンなさい。ところで、今年の年末年始はカレンダーの並びがよくて長期連休なんですね。さっき知りました。ということは、休み明けにたくさんの締め切りが待ち構えているわけで……(泣)。ちょっと早いですが、よいお年を!
【工藤貴宏】
モータージャーナリスト、自動車ライター
自動車雑誌編集を経て、フリーランスのジャーナリストへ。新車紹介や試乗記事を中心に雑誌やWebに寄稿する。年間試乗台数は250台。「車は誰を幸せにするのか?」をテーマに独自の切り口でクルマを評価する。
text & photo by 工藤貴宏+Bucket
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