【2010年代の自動車②】この時代を代表する海外のモデルは?・この時代を代表する日本のモデルは?
この時代を代表する海外のモデルは?
2010年代になると欧州勢にハイブリッド車が激増する。BM Wは3シリーズと5シリーズ、そして7シリーズにもハイブリッド車を設定。新たに電気自動車(バッテリーEV)のiブランドを立ち上げ、i3とプラグインハイブリッド車のi8を発売している。メルセデス・ベンツは2009年から量産を開始したSクラスに加え、Eクラスにもハイブリッドをラインアップした。
フォルクスワーゲン(VW)グループは、アウディを代表するプレミアムサルーンのA6とA8だけでなくSUVのQ 5にまでハイブリッド車を設定。日本に導入する予定はないが、VWジェッタにはハイブリッド車があり、北米市場を中心に販売を行っている。
VWがニューモデルとして投入したコンパクトカーのup!は1ℓの直列3気筒ガソリンエンジンを積み、群を抜く優れた燃費性能を誇る。また、危険回避の先進安全装備も充実しているから、日本でも新しいファン層の獲得に成功した。途中でEVのe-up! を追加したが、悩んだ末に日本での発売は見送られている。
フィアット500に追加された2気筒エンジン搭載の新グレード、「ツインエア」も面白い存在だ。わずか875ccの排気量でありながらターボとマルチエア(吸気バルブを無段階に調整する機構)を採用して気持ちいい走りと独特の排気サウンドを実現した。また、次の世代ではエクステリアのイメージを崩すことなくEVの500eを投入している。
■3ℓの直6ターボ(306ps)と電気モーター(54ps)を組み合わせたBMWのアクティブハイブリッド3
■ハイブリッドSUVも増加中。アウディは2ℓエンジンに電気モーターを組み合わせたQ5を発売
■メルセデス・ベンツはSクラスに続いてEクラスにもハイブリッドグレードを設定した
■往年の名車がモチーフの可愛らしいルックスのフィアット500。写真は2気筒エンジンの500S
■ポロよりさらにコンパクトなVWのup!。サイズを感じさせない存在感のあるスタイルが魅力
この時代を代表する日本のモデルは?
2010年12月に発売を開始した日産リーフは、エンジンに代えてモーターとバッテリーで走る完全な電気自動車(EV)である。満充電でおよそ200kmの航続距離(初期型)を実現し、専用の蓄電設備と組み合わせればリーフが家庭用の電源にもなる。後期型では航続距離が228kmまで向上した。2017年秋に第2世代にバトンを託し、JC08モードで1充電の航続距離を400kmまで延ばしている。また、60kW hバッテリー搭載車も登場した。日産は積極的にEV戦略を推し進め、2021年にアリアを、その1年後には軽E Vのサクラを発売した。
トヨタはハイブリッド車の熟成に努めている。2011年に登場したアクアはコンパクトサイズのハイブリッド車だ。扱いやすいボディサイズに加え、J C08モード燃費は35.4km/ℓの優秀な数値を叩き出した。リーズナブルな価格だったこともあり、プリウスを退けて販売トップの座を勝ち取っている。2代目アクアは、さらに燃費とドライバビリティを向上させた。また、自慢の1つだった軽快なハンドリングにも磨きをかけている。
注目の的となったのが三菱のアウトランダーPHEVだ。このクルマは充電した電気を使ってモーターで駆動し、電気が少なくなると自動的にエンジンをかけて発電して電気を作ってモーター走行を続けられるようにする。また、エンジンで駆動を行い、モーターがアシストするなど、走行状況に応じて3パターンを使い分けられるのが特徴だ。高度なプラグインハイブリッド車で、駆動方式はモーターによる4 WDだから悪路や雪道でも非凡な走りを披露する。現在は1充電の走行距離を80km以上に延ばした2代目だ。その下のエクリプスクロスにもPHEVが登場した。
■トヨタ5ナンバーミニバンの3モデル目として2014年に追加されたエスクァイア
■2017年、SUBARUに車名変更後最初のモデルとして発表された3代目となるXV
■一時販売がストップしたシビックも2017年の10代目からは販売を再開
■シリーズハイブリッドを採用したノート e-POWERは2016年の登場
参考情報 ここもチェック!
各国で普及率が上がるEV
アメリカのZEV規制に向け、各国からさまざまな電気自動車やハイブリッド車が登場している。2010年代中盤まではEVの普及率はさほど高いものではなかったが、今後は加速していくことだろう。アメリカでは、テスラの伸びが象徴的だ。2017年にリーズナブルなモデル3が登場すると2018年は11万台、2019年は14万台と爆発的に台数を伸ばしている。先んじた日産はもちろん、今後はGMやフォードといったアメリカ車が積極的にEVを投入していくのだから、EV比率が上昇するのは必須だ。
今や見逃すことができない国が中国だ。中国は国家戦略としてEVの普及に積極的だ。中国は自動車台数の総量規制を行っていて、クルマを購入しナンバープレートを装着することがむずかしいが、EVはエンジン車にくらべて楽にナンバープレートの取得が可能ということもあり、普及が加速度的。また、補助金なども支給されることもEVにとっては追い風だ。
欧州も都市部へのエンジン車の乗り入れを規制するなどの政策が採られるようになり、エンジン車の使い勝手が落ちている。国によって異なるが、北欧のノルウェーでは2017年に新車販売の40%がEVにシフトするなど、その動きは急激だ。
絶版名車列伝/「トヨタ2000GT」(1967〜1970年) トヨタとヤマハの共同開発により誕生した高級スポーツカー。当時の238万円という価格はカローラ6台分に相当した。映画『007は二度死ぬ』にも登場した