【ボディの構造と名称①】モノコック構造には「フレーム」がない?

『ここをチェック』
★ボディ構造はフレーム構造とモノコック構造の2 つに大別
★現在の乗用車のほとんどはモノコック構造を採用
★耐久性が必要なオフロード車などは今もフレーム構造

モノコック構造には「フレーム」がない?

自動車のボディ構造は「フレーム構造」と「モノコック構造の2種類に大別できる。
フレーム構造というのは、まずは堅牢なフレームを作り、そこに別に製作したボディを載せる構造のこと。主に「セパレートフレーム」と「アンセパレートフレーム」の2種類があり、セパレートフレーム方式で数多く用いられているのは「ラダーフレーム」といわれる、その名のとおりはしご状のフレーム構造。ラダーフレームは製作と強度確保が容易なため、現在で大柄なオフロード車など、耐久性が要求されるクルマに多数採用されている(※①)

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①多数採用されている

国産車では、トヨタのFJクルーザーやランドクルーザー200などが依然としてラダーフレームを採用しており、三菱パジェロはビルトイン・ラダーフレームという、モノコックにラダーフレームを溶接する構造を採用。輸入車ではメルセデス・ベンツGクラスが代表的だ。


アンセパレートフレームというのは非分解型のフレーム構造で、主に用いられているのは「マルチチューブラーフレーム」と言われるタイプ。多数の小径鋼管を応力の発生に沿った配置に組み合わせ、溶接するものだ。マルチチューブラーフレームの製作には大規模な生産設備が不要であり、また改造や修復も容易なことなどから、レーシングカーや少量生産のスポーツカーに採用例が多い。(※②)。

補足情報

②レーシングカーや少量生産のスポーツカー

例えば1980年代半ばの世界ラリー選手権で活躍したランチア・デルタS4は代表的なマルチチューブラーフレーム採用車。デルタS4のボディは単なる覆いにすぎず、主要な機能部品はすべて、細い鋼管組みのフレームに取り付けられていた。

モノコック構造というのは「フレームレスボディ」の総称で、骨組み(フレーム)の代わりに、外板そのものに強度剛性を持たせる設計のこと。つまりフレームとボディが一体化されていて、その全体で力を受け止める構造だ。内部空間を広く取
ることができるというメリットがあり、構造を簡素化することで軽量化にもつながる。半面、衝突などによる変形や腐食が発生すると、剛性と強度が落ちることもある。
現在では高性能なスポーツカーから低価格大衆車まで、乗用車のほとんどはモノコック構造を採用している。
ラダーフレーム(はしご型フレーム)

その名のとおりはしご状のフレーム。 強度に優れ、車体架装が容易。現代ではオフロード車に多い

マルチチューブラーフレーム

小径の鋼管を組み合わせて溶接したフレームにボディを被せる。往年のレーシングカーなどが採用

モノコック

骨組み(フレーム)の代わりに、外板全体で強度剛性を持たせる設計。現在主流の構造だ

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フレームに木材を使うクルマも存在する!

イギリスの少量生産スポーツカーメーカー「モーガン」のクルマは、フレームに木が使われていることで有名だ。
といってもシャシー自体が木製なわけではなく、車台そのものは鉄製(新世代のAero8は鉄製ではなくアルミ製)のラダーフレームが基本。しかしシャシーから上のボディ枠組みに木(アッシュ材)が使用されているのだ。
モーガンのドアフレームやリアウイングフレームなどはすべて専門の職人(というよりもマイスター)がノコギリやカンナ、ヤスリなどを使ってひとつずつ手作業で仕上げている。
そのできあがった木製フレームの上に、これまた手作業で薄い鋼板パネルを張って作られるのが、モーガンというクルマなのだ。ほとんど手作りのクルマだけに、当然値段は張る。

英国の少量生産スポーツカーメーカーであるモーガンが作る「モーガン+4」。シャシー部分はさすがに鉄製だが、ドア部分のフレームやリのフレームは「木」でできている

クルマ豆知識
日本のパーツメーカー/「エンケイ」 アルミホイールのシェアでは世界トップを誇る。自動車メーカー純正品、
アフター品ともに軽量、高剛性かつ高いクオリティを持ち、F1のマクラーレンチームにも供給する

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