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【コラム】工藤貴宏のジドウシャ・ジャーナリスト日記2017年10月

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2年に1度の東京モーターショーが終わりましたね。テレビや新聞など大手メディアでは「EVと自動運転」なんて書かれていましたが、実際に見に行ったり記事を読んだりしたみなさんはどんなクルマに興味を持ちましたか?

僕の中でのナンバーワンはマツダの「VISION COUPE」。あの姿のまま発売するわけではありませんが、流麗なデザインテイストが今後の市販車に行かされるかと思うと、とても楽しみです。
スタイルがスポーティになっただけでなく「ニュルを走り込んで煮詰めた」という来年夏に発売予定のクラウンも市販が待ち遠しいですね。それでは2017年10月のジャーナリスト日記をお届けしましょう。

東京モーターショー前は全力疾走!

【10月4日】マツダのテストコースで「スカイアクティブX」を試す

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世界に先駆けてマツダが2019年に量産化を目指すガソリン圧縮着火エンジン「スカイアクティブX」の試作車をマツダのテストコースで試乗。3カ月前にやっと車体に搭載できたばかりという圧縮着火エンジンは、ある意味普通の乗り味。だけど実現不可能といわれた仕掛けのエンジンを積んだ試作車両が、普通に運転できる段階まできているのはすごいと思う。

試作車両は次期アクセラのプロトタイプで、見た目こそ現行アクセラだけど実は新発想の構造を用いた次期アクセラそのもの。2年後に発売する車体とエンジンのクルマに試乗するなんて不思議な気分。

【10月5日~】十分だけどパンチにかけるCX-3のガソリン車

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夏に追加されてまだ乗っていなかったCX-3のガソリン車に試乗。2.0Lガソリンのパワーがあれば困ることはないんだけど、ディーゼル車の湧き出るようなトルクを知っていると物足りない気分になってくるのが正直なところ。人間って欲張りな生き物だ。あらためてCX-3に乗ってみたら、内装の仕立ての良さをしみじみと実感。ただ、乗り心地は硬さが目立つような……。

【10月6日】蓼科でボルボXC60に試乗

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新世代になったXC60を曲がりくねった峠道で試乗。スイスイ曲がっていく軽快な乗り味に驚いた。先代XC60では宗谷岬までドライブに出かけたから、来年春にディーゼルが発売されたら鹿児島の先端まで行きたいところ。

【10月10日】ステップワゴンハイブリッドは完成度の高さに納得

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まず何がすごいって、ハイブリッドを収めるためにプラットフォームを新たに起こしたこと。価格が高いこと(凝ったシステムで高価だから仕方ないけれど)を除けば、加速はスムーズだしハンドリングもナチュラルだし素晴らしい出来。ライバルのなかでもっとも完成度の高い走りだと思う。こういうのをサラッと作り出してくるところがホンダらしいよね。F1はもうちょっと頑張ってほしいけど。

【10月12日】ハイラックスにオトコのロマンを感じる

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乗用車と比べたら乗り味は荒いし、車体は全長5.3mと買うのにはけっこう覚悟が必要な巨体だし、そもそも300万円中盤からの価格も気軽とは言いづらい。だけど猛烈な魅力を持っているハイラックス。正直なところ欲しい。ランクル70の時もそうだったけど、これは理屈では説明できない「男のロマン」としか言いようがないなあ。

【10月17日~】CX-5の2.0Lガソリン車に乗ってみる

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CX-3からCX-5へチェンジ。CX-5のガソリンエンジンは2.5Lと2.0Lがあるけれど、まだ試乗していなかった2.0Lモデルを借りてみた。動力性能的には不足ないし、燃費も上々(高速道路なら15km/Lに届く)。これはこれで悪くない。だけどディーゼルを知ってしまうと……(ってCX-3と同じ結論じゃないか!)。

【10月20日】スバルのテストコースで新型車2連発

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スバルが高度運転支援機能や自動運転を視野に入れて新たに整備した北海道のテストコースで、BRZ STI Sportや最新のレガシィB4に試乗。BRZはとんでもなく気持ちよく、B4は優しく包み込んでくれるような乗り味が好印象だった。それにしても、普通に走って130km/hを超えるような高速テストコースでの試乗なのに「2周ずつです」「分岐ではBRZは左、レガシィはまっすぐ進んでください」、「左側通行で追い越しは右からお願いします」という簡単な説明だけでジャーナリストやメディアの人間をコースへと放ってしまうスバルのおおらかさはさすがだ。

【10月20日】そしてスバルが一部を作った飛行機で東京へ

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テストコースを見学したりBRZやレガシィを試乗したりしたあとは、レヴォーグに乗って「アイサイトツーリングアシスト」を試しながら旭川空港へ。ここからはスバルがチャーターしたJALのボーイング787の国際専用機材に乗って成田へ。実は787の機体の一部(中央翼と呼ばれる部分)をスバルが作っているのだ。座るシートはくじ引き。日頃の行いがいいから、しっかりビジネスクラスをゲットして快適そのもの。ところで自動車業界的には787といえばマツダのレーシングカーをイメージしてしまうけど、それは「787B」で飛行機は「B787」。

【10月23日】タンクのターボに乗ってみる

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広報車両がなくなってしまうというので、その前にタンクのターボ車を1週間ほど借りてみた。こういうクルマ、扱いやすいし乗り降りしやすいし、後席だって広いし子育て世代の日常には最適だ。ターボ感はほとんどなく、排気量を大きくした自然吸気エンジンのクルマに乗っている感じ。燃費のよさはさすがで、首都高を80キロほど移動して20km/Lを超えていた。ただ、ターボ車は価格が高いんだよね……。

【10月25-27日】東京モーターショー

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2年に一度の自動車業界のお祭り。どうせ参加するなら楽しまなきゃ!というわけで、プレスデーから3日間連続で会場通い。それにしても、センチュリーは新型になってもカーテンがよく似合っていたのはさすが。時代を考えてV8ハイブリッドという選択はわからくもないけれど、個人的にはV12を貫いてほしかったなあ……。「そんなの関係ねぇ」とばかりに。

【10月29日】NSXの超高性能にウットリ

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実はこれまでしっかりと乗る機会がなかったNSXと5日間も一緒に過ごせることに。ハイブリッドが特徴だけど、走ってみるとハイブリッド感はほとんどなくて気持ちいい吹け上がりなどさすがスーパーカー。車高が低くて段差に気を付けなければならないなど、ちょっと疲れる部分もスーパーカーらしいといえばらしい。楽しかった!

マツダの先行開発車両に乗ったり、NSXに乗ったり、チャーター便のB787に搭乗したり。忙しく充実した1カ月間でした。モーターショー前はもがくようにバタバタしていて、今月も人に見せられないほど雑然とした仕事部屋の整理はできなかったなぁ。来月こそ……。

【工藤貴宏】
モータージャーナリスト、自動車ライター
自動車雑誌編集を経て、フリーランスのジャーナリストへ。新車紹介や試乗記事を中心に雑誌やWebに寄稿する。年間試乗台数は250台。「車は誰を幸せにするのか?」をテーマに独自の切り口でクルマを評価する。

text & photo by 工藤貴宏+Bucket

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